物語はとっくに始まってる

岡山県北にあるちいさな町で、まちの人々が出演する映画が制作される。主演は、町内でも屈指の目立ちたがり屋・岡谷正雄（９６歳）。これまで数々の映画にエキストラとして参加してきた。町に映画監督がやってきて、いよいよ映画づくりがスタートしたとき、岡谷は自宅のトイレで転倒して骨折をしてしまう。病院を抜け出してまで映画づくりに参加する岡谷。これは役者魂なのか、問題行動なのか。まちの人々はずるずると狂気の旅に引きずり込まれていくーー。

出演者は、ほとんど演劇経験のない人ばかり。高齢になっても、認知症になっても、障害があっても、ともに世界を立ちあげ、いまここを全力で楽しむ。奈義町で開催した演劇ワークショップ参加者たちと、狂気の旅をつづける９６歳の俳優・岡田忠雄がつくる、誰も観たことがない共生演劇の幕が上がる。